シドニー でも、ハイ・ティーやアフタヌーン・ティを楽しませてくれるとことは、たくさんありますが、手ごろな値段で、雰囲気のいいところとい うこと、今日ご紹介するボローニア・ティルームでしょう。

ボローニ ア・ティールームは、以前はボローニア・ハウスと呼ばれていました。１８８５年（明治維新の１７年後）に建てられたモスマンにある大 邸宅です。ボローニアが立っている土地は、もともと当時の英国政府が認可した４エーカー（５千坪弱）の土地でした。

背景をほ んの少しご紹介しましょう。

ヨーロッ パ人の定住が始まった１７８８年に、英国政府の代表であるフィリップ総督が流刑植民地のために、土地の所有を認めるよう政府に要求し ました。すべての土地はクラウン（イギリス王）の名において授けられましたので、与えられた土地は、クラウン・ランド【王の土地】と 呼ばれました。日本風にいうと、これらの土地を管理するために国土庁という役所が、まもなく設置されました。

1791年から1831年まで、フィリップ総督と後のマッコーリー総督まで、州での定住を促進するた めに、イギリス政府（国王）に代わって土地所有の認可を出ました。 これらの無償の払い下げ土地の所有の証拠は、「王の認可」（クラウン・グラント）という文言で文書に出てきます。マッコーリー総督 も、1809〜1821年 に土地の賃貸を開始しました。

ボローニ アが立っているもともとの敷地は、当時の英国政府がVinzenz Zahelへ 認めた４エーカー（５千坪弱）の土地でした。夫が亡くなって未亡人となったブリジット・ザヘ ル・ヴィンセンスは、1885年に£1,700ポンドでジェームズ&ジョ ン・キーリー兄弟に土地を売却しました。

ボローニ ア・ティー・ルームは、1885年に、モスマンのミリタリー・ロード沿いに ジョン＆ジェームズ・キーリー兄弟が隣同士に建てた伝統建築風の邸宅のうちの 一軒です。もう一軒には、テロピーという名前が付けられました。キーリー兄弟は、レッドファーンに住む有名な車体製造業者でした。

建物の建設と同時に、キーリー兄弟の商売運が膨 らみました。そして、カースルレーとピット・ストリートに工場を進出させました。二軒の邸宅は、もともとミリタリー・ロード北部からオウ リンバー・ロードへ広がる、広大な庭園付きの大邸宅として設計されました。１９世紀から２０世紀への変わり目に、区画された地所に小さな 家を建てる英連邦風の建物が主流になりつつあった時期に、二軒の邸宅は、ヴィクトリア朝時代に建築されたわずかな代表建築例です。

その後は端折りますが、1952年に、モスマン 市役所が、15,750ポンドでボローニア・ハウスを購入しました。そして、その 素晴らしい雰囲気と時間を超越した伝統的遺産スタイルを保ちつつ家を改築し、1978年 まで市の図書館としました。 しかし1978年ころには、ボローニア・ハウスは図 書館として手狭になりました。その後、モスマン市役所は、1978年から1985年まで、一階と二階のオフィス・スペースをアート・ギャラリーとして、広告会社に 賃借しました。

2012年に、モ スマン市役所は、エンターテイメント盛んな今の時代の客層を狙って大改装を行い、ハイ・ティーをサーブするようになりました。